タイトル:九羽の白鳥 とりどり日記

2025/8/1 沼のほとり

暑い日が続いている。少々ためらいながら、久しぶりに沼のほとりに足を運んでみた。いつも愛想よく迎えてくれるのは、モモイロペリカンのカンタ君である。今日は、いつものように漁師さんの船に乗り込んで、チュウサギさんと相乗りしている。おっとりとご機嫌な顔であった。

近くの木陰では、アサマイチモンジが2頭ほどひらひらと一瞬舞って、アッという間に姿を消してしまった。夏の雲もぽっかりと浮かんで、のどかな沼のほとりである。

2025/8/3 蓮田のひとこま

秋の渡り、春の渡りでシギチの観察に出かけることの多かった蓮田地帯。体調を崩してからずいぶん足が遠のいているが、この暑さの中で、蓮田地帯は、どのようになっているのだろうか。気になりながら、なかなか出かけることの出来なかった蓮田地帯に足を運んでみた。

次々に広がる蓮田地帯。蓮の大きな葉が、重なり合うようにびっしりと蓮田地帯を埋め尽くしている。その中にポツンポツンと白とピンクの蓮の花が彩りを添えて美しい。真夏の蓮田地帯は、美しい日本画を見るようであった。

2025/8/4 蓮田のひとこま

暑い日が続いているが、時折、田園地帯に足を運ぶことがある。私は、今、ほとんど歩くことが出来ないので、車での移動になるが、家にいることばかり多いので、田んぼの風にあたるだけで、とても気持ちが穏やかになる。

この日、蓮田でチュウサギに出会った。蓮田の水が、涼し気で心落ち着く風景であった。鳥との出会いの少ない時期に、一羽のチュウサギとの出会いは、なんとも嬉しく心和むひとときを過ごすことが出来たのだった。

2025/8/5 蓮田のひとこま

久しぶりに訪れたのは、蓮田地帯。大好きなシギやチドリとの出会いを求めて、以前は、足繫く通ったところである。今は、歩いて観察することも難しく、車からの探鳥のみである。

タカブシギなどの姿が見られているとのことで、蓮田地帯を訪ねてみたものの、限られた蓮田では、そう簡単に出会いが叶うわけもなく、出会ったのは、アオサギとハクセキレイであった。それでも久しぶりの鳥との出会いに心弾むひとときを過ごすことが出来たのだった。

2025/8/7 アマサギ

今日は、立秋。本来であれば、そろそろ涼風がわずかながらでも期待できるところであるが、連日の猛暑でこの先、どうなることであろうか。昨日、静岡市では、41度を超す気温であったという。その心配が通じたのであろうか。今朝は、ほんのわずかながらお湿りがあり、気温もぐっと下がって気持ちが良い。

写真は、昨日、田園地帯で出会ったアマサギである。そろそろ移動の時期と思うが、連日の暑さで、住みよい環境にとどまっているのかもしれない。人は暑さを避け鳥たちは、暑さを好む。明日はまた、どのようなことになるのだろうか。

2025/8/8 水辺のひとこま

連日の猛暑に辟易していたが、昨日、立秋を迎えた朝、なんとも不思議なことに肌寒さを感じるほどの朝を過ごすことになったのだった。猛暑のためにクーラー漬けになっていた体には、自然の涼しさは、あまりにも新鮮で戸惑うほどの感激であった。

写真は、水辺公園で目に留まったアヤメ(コアヤメ)である。隣には、蜻蛉がとまって暑さの中でひととき涼を感じさせてくれた。秋は、もうすぐそこまで来ているのかもしれない。

2025/8/10 水辺のひとこま

暑さの中で向かったのは、親水公園。古代蓮が見られるのだが、お昼を回っていたので、蓮の花は、期待できなかった。時期的にも少々遅すぎたようである。それでもハスの実があちこちで見られ、その姿は、なんとも魅力的であった。

蓮の茎にとまったシオカラトンボも数頭。何とものどかな光景である。鳥との出会いが少なくなり、寂しい限りであるが、自然にふれあい、心豊かな日々を過ごしたいものである。

2025/8/11 水辺のひとこま

暑さの中で古代蓮の見られる公園を訪ねてみた。蓮の花は、少々時期が遅すぎたようであった。ここで、いつも出迎えてくれるのが浜茄子である。ミニトマトのような実をたくさんつけて待っていてくれたようである。白くて清楚な花は、ふちのところが茶色に変色し、少々哀れに見えた。それでも今年の夏も浜茄子に出会えたことに感謝である。

2025/8/12 古代蓮

ひと頃の暑さに比べれば、ずいぶんしのぎやすくなったとは言うものの、まだまだ暑い。気になっていたのが古代蓮。レンコンを収穫する蓮田地帯でも蓮の花が見られるが、古代蓮は、蓮田地帯の蓮の花とは、また違った趣がある。

太陽がじりじりと照り付ける日の午後であったので、タイミングとしては決して良いとは言えない。しかし、これだけ蓮の花を見られれば十分である。久しぶりに見る古代蓮は、美しかった。

2025/8/14 スイレン

暑さの中で訪ねた水辺。そこには、スイレンが涼し気に花を咲かせ、訪問を歓迎しているかのようだった。水連はヒツジグサとも言われるが、日中、愛らしい花を見せてくれるが日が暮れると花を閉じる。

睡蓮というとモネの絵を思い浮かべる方も多いのではないだろうか。まだまだ暑い日が続きそうであるが、ひととき睡蓮が涼しさを運んでくれたような気がした。

2025/8/17 タカブシギ

久しぶりに蓮田地帯に向かった。ただ当てもなく車を走らせる。途中、収穫を待つ稲田の光景が素晴らしい。首を垂れる稲穂。米の高騰で新米が大いに期待されているわけで、この光景を見たら、安堵される方もおられるのではないだろうか。

蓮田地帯に入るとピンクや白色の花が時折、目につく。大きな蓮の葉が蓮田を埋め尽くして、とても探鳥どころではない。それでも何とか水面の見える蓮田にたどり着く。遠くに小さな鳥影。どうやらシギらしい。双眼鏡で見るとタカブシギであることが分かった。それは、久しぶりの嬉しい出会いであった。

2025/8/19 チュウサギ

お盆を境に風が変わるようにずっと以前から感じている。それは、季節の変わり目を告げている風の表情なのかもしれない。

大好きな田園地帯を時折、車で回ってみるとまさに季節の変わり目を感じる光景に出会った。ずっしりと稲穂を垂れている稲田が広々とどこまでも続く。どうやら今年も豊作のようである。その稲田を背景に真っ白なチュウサギが一羽優雅に飛び立った。秋は、もうすぐそこまで来ているのかもしれない。

2025/8/21 チュウサギ

連日の暑さに音を上げているが、ジッとして家にいるより車で田んぼでも回ってみようとの家族のはからいで、出掛けることになった。

ドライブを兼ねて1時間弱、田んぼ道を回って見る。見渡す限り稲田が広がり、流石、関東平野と思う。更に少し行くと蓮田地帯がある。その一角で一羽のチュウサギに出会った。様子を見ていると草地で休憩していたチュウッサギが、蓮田に飛び降りた瞬間があったが、何と見事に小魚数匹を口にくわえて上がって来た。実に見事である。チュウサギがさわやかさを運んでくれたひとこまであった。

2025/8/22 イソシギ

シギ・チに会いたくて出かけた蓮田地帯。私がほとんど歩けないので車からの探鳥のみである。20数年前、野鳥のことが何も分からなかった頃、出会ったのがオオキアシシギであった。なかなか出会いの機会のないシギ、いわゆる珍鳥である。あれがシギとの初めての出会いであった。

今回、ごく短時間であったが、蓮田地帯を一回りしてやっと出会えたのがイソシギである。以前は、田んぼ廻りをすれば必ず出会えたシギであるが、今は、イソシギでさえ、なかなか出会いの機会がない。一羽のイソシギにレンズを向けると遠き日の想い出がよみがえって来た。

2025/8/23 散歩道

自宅から車で5分くらいのところにある水辺公園。かなり以前には、色々な鳥との出会いがあったのだが、今では、スズメに会うことも珍しい。名前の通り、水辺と言えるほどの池があり、コサギやチュウサギを見かけたこともある。

何か出会いはないものかと立ち寄ってみたところ、シロツメクサに心奪われているヤマトシジミに出会った。すぐ近くでは、シオカラトンボ。鳥との出会いはなかったが、嬉しい出会いであった。

2025/8/26 散歩道

広々と続く田園風景。稲穂がずっしりと首を垂れて今年も豊作であることを告げている。すでに収穫の済んでいる田んぼもちらほら見え、そこにサギたちが集まっている。トラクターの入った田んぼからは、色々な昆虫類やカエル、ミミズなど出て来るので、サギたちにとって大事な栄養源なのである。

今回出会った鷺は、チュウサギばかりのようであった。時にアオサギやコサギが混じることもある。のどかな夏の終わりの田園風景であった。

2025/8/27 セイタカシギ

そろそろ蓮田地帯のシギの動向が気になってきた。私は、ほとんど歩くことが出来ないので、車からの探鳥のみとなる。それゆえ、限られた場所での鳥見となるが、秋の渡りのシギたちの動きが気になり、家人の車で出かけることにした。

蓮田は、一部収穫が進んでいるが、まだまだこれからのようである。何とか出会いが叶ったのは、セイタカシギであった。これからもっと出会いの機会が増すことであろう。

2025/8/28 アマサギ

田園地帯では、稲穂が頭を垂れる光景が、あちこちで見られるようになって来た。すでに収穫も進み、稲を刈った後の光景もまた味わい深いものがある。

稲穂の上に一羽のサギの姿が見えたので、レンズを向けてみた。距離があり、時期的にチュウサギであろうと思っていたのだが、帰宅後、パソコンに入れて確認してみるとアマサギであることが分かった。他の仲間は、すでにこの地を離れていることだろう。無事に仲間と合流出来るよう祈るばかりである。

2025/8/30 チョウトンボ

鳥との出会いが少なくなり、気が付けば蝶や蜻蛉との出会いも以前に比べれば、かなり減ってきている。毎夏、出会いを楽しみにしているのが、チョウトンボ。今季、一度見ただけであった。心当たりを訪ねてみると嬉しいことにわずかながらチョウトンボの姿を確認できたのである。

暑さを避けるためにするオベリスク。倒立の姿勢である。人だけでなく、蝶もトンボも鳥たちもこの夏の暑さには、閉口している。暑かった八月も明日を残すのみである。